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http://www.socialnetwork-movie.jp/ 2011/1/15公開

高村英次(映画ライター)
SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)とは、つまりネットを行う人同士の相互コミュニケーションを円滑&活性化させる会員制ウェブサイトである、というのがその方面に疎い筆者の理解であるが、そのSNSでフェイスブックというサイトを立ち上げ、今や世界で5億人が登録しているというオバケサイトに仕立てたのがこの映画の主人公マーク・ザッカーバーグだ。だがその経緯には異説があって、他人のアイデアを盗用したとか、もともと親友だった共同の立ち上げ人を左遷してサイトを独り占めした、といった訴えが出され、映画はマークとそれら原告(または弁護士)とのヤリトリを交えて、目まぐるしく進行する。
まず何と言っても驚かされるのは、マークを演じる新人ジェシー・アイゼンバーグの猛烈な早口で、“マシンガン・トーク”のロビン・ウィリアムズを凌駕する俳優が久々に現れた、とは誰もが思うだろう。この早口と、かつてのダスティン・ホフマン(「卒業」)のようなジェシーの内向性が映画のトーンを決めてしまっている。それゆえにマーク・ザッカーバーグ本人からこの映画が訴えられた、というのも判る。何故ならジェシーが演じたマークは人から嫌われる典型的なタイプで、友達を平然と裏切る卑劣な人間であり、コンピュータには詳しいが対人関係、特に女性にはまったく不得手なオタクとして表現されている。その真偽、つまりマーク本人がどんな人間なのかは判らない。だが映画で描かれる、ワールドワイドな物凄い大人気サイトを立ち上げた人物がサイテーなダサ男だった、という視点はシニカルで面白く、昨今の日本でも彼のような軽薄な“ネット長者”や狡い“成金投資家”が目立っていたので、とても実感が沸く。
マークの“フェイスブック”の成功話がとめどもない訴訟合戦と絡み合ってコンプリケイテッド(複雑)に描き出される映像には、映像派のデヴィッド・フィンチャー監督の“らしさ”はない。だがそれこそが彼の映像作家としての進歩、成熟を示している。ケレン味やトッポイ映像表現から脱却して、個々のストーリーやシナリオに一番適した表現法で撮る、という演出家の本分に気づいたかのように、フィンチャー監督はデジタル語を物凄い速さでダラダラと並べ立てる無表情な若者を漠然と映し続ける。そこが妙にリアルだ。 マークは成功者だ。しかし成功者であるにも関わらず、まるで喜怒哀楽を失った幼児のような青年であり、その途方に暮れた虚ろな表情はどこか哀しい。これが世界一のネット社会アメリカの姿なのか。そうだとしたら、日本もすでにその病に冒されている気がする。

清水節(編集者/映画評論家)
これは、ごく小さな仲間の集まりで始めたデジタル・メディアによる新しいビジネスの「創造」をめぐり、人間関係が「崩壊」していく様を暴き出した、IT時代の『市民ケーン』である。日本ではまだ浸透していない世界最大のSNS、フェイスブック。その知られざる誕生のプロセスを、3つの立場から描いていくのだが、当事者たちからクレームがつくのも無理はない大胆不敵な傑作だ。主人公のハーバード大生マークは、社会性なき自閉的な天才ハッカーで、女性に振られた腹いせに学内のセキュリティシステムをハッキングし、女子の品定めを目的としたネットサークルを立ち上げる。女子からは非難囂々だったが、写真とプロフィールによって他者を知ることができるそのサイトこそが、やがてフェイスブックに成長したのだという滑り出し。そう、ネット空間に広がる世界的な社交場は、孤独な青年の妬みと願望から生まれたという視点が、説得力をもって語られる。しかし、そのアイデアは俺たちが最初に考えたもののパクリだと訴えるウィンクルボス兄弟。そして、資金提供した共同創業者でありながら、新たなパートナーを見つけたマークに排除され、怒り心頭に発するエドゥアルド。脚本は『羅生門』的アプローチだが、当事者の主観によって少しずつズレた真実があるという既存の描き方ではなく、事の真相は重層構造であって、彼らの証言はいずれも真実なのだという描写に、ぐいぐいと吸い寄せられる。かつてスタイリッシュと呼ばれたフィンチャー演出は、近年徐々に淡泊になってきたが、本作においてそれは極まっている。簡素ともいえるヴィジュアルに、セリフの洪水。それは現実に重きを置かず、自己愛に満ちどこか幼稚ゆえ、コミュニケーション不全のまま膨大な情報の海を泳ぐ彼らの世界観を表す上で、意味をもつ。そもそもビジネスなどには興味はなかったであろうオタク青年が、世界中の人々を繋いで億万長者となり、その名誉と利益をめぐって訴訟に巻き込まれる皮肉と悲哀。ネットを介し5億人の仲間を結びつけることになった青年が、実人生では身近な仲間にすら離反され、心に空洞を抱えているという本作のテーマは、古めかしく根源的でありながら、今を生きる者たちにとってあまりにも重要である。
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